よくある皮膚疾患
皮膚の病気は、患者様ご自身でも目で見て確認することができ、治療の結果も一目瞭然になることが多いため、診療に当たる医師には幅広い知識と経験が必要となります。
また、急速に進む遺伝子学的病因解明や最新の治療法の開発など、皮膚科の最新知見を実際の診療に役立てることが重要となっています。
当院では、丁寧な問診ならびに視診、必要に応じて様々な検査をしながら治療にあたります。
にきびやじんましん、アトピー性皮膚炎等でお悩みの方へ、保険内診療を中心とした一般皮膚科の診療メニューをご案内します。
にきび
毛穴に皮脂や汚れがたまるとアクネ菌という菌が増殖し、皮膚の炎症がおこります。基本的なスキンケアや規則正しい生活で症状を抑えたり、予防したりすることもできますが、化膿したり・膿が出るようになってしまうと、自己流のスキンケアでは対応が難しくなってしまいます。
外用薬だけでは改善しないこともありますが、その場合は内服薬やピーリングも効果的な治療法です。
じんましん(蕁麻疹)
かゆみを有した限局性の発赤や浮腫が突然出来る皮膚疾患です。
明らかな原因を同定しえない特発性蕁麻疹が最もよく見られます。
対策としまして、内服薬では抗アレルギー薬、または抗ヒスタミン薬、外用ではステロイド薬や非ステロイド薬が有効です。
湿疹
湿疹の原因として次があります。外からの刺激、物理的刺激(日光、温熱、寒冷、乾燥など)、化学的刺激(化粧品、洗剤、薬物など)、アレルゲン(金属、花粉、ほこり、植物、昆虫など)により皮膚が刺激され、炎症が起こります。
内からの原因の治療としては抗アレルギー剤の内服、ステロイド外用剤などを処方することが多いです。 体のどこかにかゆみ、赤み、ブツブツが出てくるのが特徴です。かゆみを抑えたりすることも大事ですが、原因を除去することをまずは探ります。これは今お飲みの薬や体につくものの可能性が大いにあります。必要に応じてパッチテストを施行します。
いぼ
いぼはヒトパピローマ・ウイルスによる感染、水いぼは伝染性軟属腫ウイルスによる感染です。どちらもうつる病気で、ご本人の中で広がっていったり、家族などにうつったりします。 いぼの治療の基本は1週間から2週間に一度、液体窒素で冷凍凝固処置します。しかし痛みを伴いますので、特に小さなお子さんにはつらい治療法です。そのような場合には痛みのない治療法もご提案いたします。
たこ・魚の目
タコも魚の目も皮膚が繰り返して長期間、摩擦や刺激を受けることにより起こります。
タコは足の裏以外にも癖や職業、その人の生活習慣によっていろいろな場所にでき、表面は平滑で周囲との境界は不明瞭です。
角質の増殖はほぼ均一なのが特徴で、魚の目やイボとは異なります。
タコの場合、表面の皮膚が固くなるだけなので、ほとんど痛みは感じません。
魚の目はタコよりもかなり限局した範囲に刺激が起こることにより生じて、一般的に足の裏にできます。
魚の目の場合、皮膚表面が厚くなっていくのではなく、皮膚の内側に向かって芯(しん)ができます。
タコとは違い、芯が神経がある真皮層まで達することで強い痛みを感じることがあります。
帯状疱疹
帯状疱疹は、水痘(水ぼうそう)と同じく、水痘・帯状疱疹ウイルスによって引き起こされます。子供の頃に罹患した水痘のウイルスは、神経節の神経細胞内に遺伝子の形で残っています。そのように潜伏していたウイルスが体調不良で免疫力が低下した際に再活性化し、左右いずれかの神経に沿って、多くの場合、痛みを伴う皮疹を生じます。
水虫
足水虫(足白癬)は皮膚糸状菌(白癬菌:カビの一種)が足に感染して起こる病気です。足が不潔な状態のときに起こりやすいのですが、感染の機会は非常に多くあります。家族内に白癬菌の感染者がいる場合、同じ施設での集団生活、プールや共同浴場の利用などは特に感染の危険性が高くなります。
手荒れ・肌荒れ
手の皮膚が乾燥してしまい、皮膚炎が発症した状態を指します。手あれは、特に主婦、美容師、飲食店員、銀行員などによくみられる病気です。水仕事をよくしたり、紙幣をよく扱ったりするために、繰り返し指先に刺激が加わって起こるものと考えられています。
皮膚の表面にある角質層の水分が不足していることは肌荒れの原因の一つです。脂肪が含まれた皮脂だって不足すれば肌荒れの原因になります。肌の皮脂が不足することで水分が逃げやすくなるからです。代表的な肌荒れの症状と共に肌の状態を理解していきましょう。
肌の状態を理解することで化粧品の選び方や必要な栄養素、それぞれの症状の対処法やケアの方法がより深く理解できるようになります。
やけど
熱傷(やけど)は高熱による皮膚の障害です。受傷部位に発赤、腫れ、水ぶくれ、痛みが現れます。強い痛みが初期の症状ですが、深い熱傷では神経も障害するため痛みがない場合もあります。 熱傷の深さによって1度、2度、3度の熱傷に分類されています。
【1度熱傷】
最も軽いタイプで、表皮のみが障害を受けて、皮膚がヒリヒリと痛み赤くなりますが、水ぶくれにはなりません。通常は1週間以内には治ります。
【2度熱傷】
表皮の下の真皮に達する熱傷です。強い痛みがあり、熱傷受傷後24時間以内に水疱ができます。浅い2度熱傷は2~3週間程度で治り、あとが残りません。深い2度熱傷は3週間以上かかり、あとが残ります。
【3度熱傷】
皮膚は神経も障害されるため、むしろ痛みを感じません。皮膚表面は白くなり、あるいは黒く硬くなることもあります。深い潰瘍となり、あとを残します。
やけどの治療
やけどは受傷直後の処置が最も重要です。15℃前後の水道水で約30分冷却して下さい。冷却によって、ヤケドをした場所の炎症、腫れを抑え、痛みを和らげることができます。顔面は、タオルの上から氷嚢を当てるとよいです。痕が残るかは熱傷の深さと、受傷後からの処置方法が重要になります。1度熱傷または浅い2度熱傷の場合は、炎症を抑えるためにステロイド外用薬や細菌の感染を防ぐため抗生物質の飲み薬を使用します。
日焼け
日焼けは、赤くなる「サンバーン」と黒くなる「サンタン」に分けられます。赤くなるサンバーンは痛みを伴い、時によって水ぶくれなどを起こすこともあります。肌のタイプによって症状は大きく異なりますが、とくに白い肌の人はサンバーンを起こしやすく、注意が必要です。
黒くなるサンタンはメラニンという色素がメラノサイトという色素産生細胞でつくられたあと、表皮に現れてくるものです。そのメラニンの働きよって、紫外線によるDNAの損傷を防いでいるのです。つまり、日焼けを起こすほどに大量に紫外線を浴びれば、表皮の細胞のDNAも傷ついているということです。
通常ならばその傷はいずれ修復されますが、うまく修復できなかった傷が積み重なると皮膚のガンや老化(しわ、しみ)につながっていきます。昔はビタミンD生成のため日焼けが推奨されていたこともありましたが、現在では数分の日光浴で十分な量が得られるとされています。無用な日焼けは避けるようにしましょう。
日焼けの治療
焼けてしまった場合は、通常のやけどと同じようにまず患部を冷やしましょう。たかが日焼けと思わずに、焼けた部分のひどい痛み・頭痛や発熱がある・水ぶくれが出来ているなど、重篤な症状の場合はすぐに病院を受診してください。また、水ぶくれは潰すとそこから細菌が入り広範囲に化膿することがありますので、潰さないようにして下さい。
口唇ヘルペス
口周りにできやすく、疲れるとでます。抗ウイルス剤を処方します。内服と外用がありますが、再発の頻度が多い方や重症化しやすい方は内服をお勧めします。できるだけ早期から内服を開始しましょう。
口内炎
ほほの内側や歯ぐきや舌などの口の中、口周りの粘膜に起こる炎症の総称です。
乳幼児から高齢者まで幅広く発症してしまい、患部は潰瘍や水疱になります。
原因は様々で、口の中を誤って噛んでしまったり、疲労や免疫力の低下、ウイルスや細菌の繁殖、ビタミンなどの栄養不足、アレルギーによる炎症などがあります。 口内炎は痛みをともなう為、飲食や会話などの日常生活で不快感があります。
虫さされ
虫さされは、蚊・ブヨ・アブ・蜂・ノミ・ダニなどに刺されて生じる症状の総称で、刺された虫によって様々な症状が現れます。刺された直後からすぐにかゆみや赤みが出る場合もあれば、しばらく時間が経った後に症状が現れてくる場合があります。小さなお子様の場合、特に赤く腫れる場合が多いです。「虫さされ」をかきすぎると跡が残ったりとびひの原因に。
虫さされの治療には、強い炎症症状を抑えるために比較的強いステロイドの塗り薬を短期間使用します。かゆいからといってかきむしると、跡が残ったり、とびひなどの感染症状を引き起こしたりする危険があります。
円形脱毛症
円形脱毛症はいわゆる「十円はげ」と呼ばれる、丸い脱毛疾患です。実は頭皮だけでなく全身のどの部位にも発症することがあります。重症の方でも、毛包は絶対に破壊されませんから、時間がかかったとしても治癒する可能性は常にあると言えます。当院では患者様のお悩みを聞きながら、根気よく治療を進めてまいります。
あせも
汗のかき過ぎにより、汗が排出される汁管がつまることにより発症する湿疹をさします。原因は、汗の量だけではなく、お肌に付着する汗に含まれる細菌や汚れ、日焼けなどがあります。こまめに体の汗をふきとることが必要です。
かぶれ
何かの原因物質(アレルゲン)が皮膚に付着して起こるのが「かぶれ」です。金属や植物、化粧品、洗剤などありとあらゆるものが原因となる可能性があります。顔の肌荒れや手あれが実は接触によるものであった、ということもよく経験することです。当院では、疑わしい物がある場合はパッチテストを行い、原因物質の同定を行っています。
アトピー性皮膚炎
皮膚のセラミドの減少によるバリア機能の低下などが原因で発症します。
そのアレルゲンとしては、食品、植物、ホコリ、ダニ、そのほか様々なものなどがあり、血液検査をおこなうことで原因物質を調べることが可能です。
症状にあわせて、内服薬では抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤などを主に用いますが、そのほか漢方製剤も病勢の安定した時期には使用します。
夜間のかゆみをおさえるためには、入眠剤を投与することもあります。
外用はステロイド薬、非ステロイド薬、保湿薬など用います。
巻爪
爪はほおっておくと自然にまいていくものですが、遺伝的な要因、爪の切り方、靴の選択、外反母趾などの骨格の問題、運動や外傷などにより、巻き爪になりやすい人となりにくい人がいます。 巻き爪の人は、陥入爪といって爪が肉に食い込んで痛みを引き起こす状態になりやすくなります。最初は少し痛い程度ですが、そのうちに激しい痛みで歩けなくなることもあります。 爪を切ると痛みは一時的になくなりますが、爪が伸びてきたときはさらに悪化させてしまいます。
カンセン(乾癬)
皮膚が赤くなって盛り上がり、魚のうろこ、あるいは雲母状になった銀色っぽいふけの様な皮が、厚ぼったく付着したりぼろぼろ剥がれ落ちたりする病気です。 ウイルスやカビなどの微生物は関係無い病気なので、うつる事はありません。原因もはっきりせず、経過の長い病気です。